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電圧変換回路 (0V~5V → -10V~+10V)?---基準電圧ICを使った回路 - inara1

2014/05/24 (Sat) 15:22

0Vから5Vまで変化する電圧信号を-10Vから+10Vまで変化する電圧に変換する回路で
す。抵抗値などの計算法は後で説明します。

右の回路(図をクリックすると拡大表示される)は、基準電圧IC(NJM431)とオペ
アンプ(LM358)を使った回路です。

この回路では、入力(IN)の電圧をVin (V)、出力(OUT)の電圧をVout (V) とし
たとき

Vout = ( 1 + R4/R3 )×Vin - (R4/R3)×A点の電圧 --- (1)

となります。R3=10kΩ、R4を30kΩ、A点の電圧を3.33Vとすれば

Vout = 4×Vin - 10V

となるので、Vin=0V のとき Vout = -10V、Vin=5V のとき Vout = 10V となりま
す。

出力電圧を-10Vから10Vまで変化させる必要があるので、オペアンプの電源は+15V
と-15Vの2つの電源が必要です。

入力信号の変化が1kHz以下であれば、LM358などの安価な汎用オペアンプが使えま
す。LM358は±15Vの電源電圧で動作します。

3.33Vの電圧を作るために、NJM431という基準電圧用ICを使っています。添付図の
ように、抵抗R1とR2、可変抵抗VRを組み合わせると、2.5Vから5Vまでの安定した電
圧を作ることができます。A点の電圧が3.33VとなるようにVRを調整します。A点の
電圧は、+15Vの電源電圧が変動してもほとんど変化しません。したがって、電源電
圧があまり安定していない場合(15Vでなく14Vに下がっていたり変動する場合)
や、電源電圧にノイズが多い場合には、基準電圧ICを使ったこの回路を使ってくだ
さい。

式(1)から分かるように、R3とR4の抵抗の比とA点の電圧が正確でないとこの回路の
変換精度が悪くなります。A点の電圧は可変抵抗で正確に合わせ込むことが可能で
すが、R3とR4に固定抵抗を使った場合は、その抵抗値の比がずれていると出力電圧
もずれてしまいます。

R3とR4には高精度(誤差1%)の金属皮膜抵抗を使うか、一般的な抵抗(誤差5%)の
抵抗値を測定して、R4/R3が2.99~3.01などの範囲に入るような組み合わせを選別
してください。R3とR4は抵抗値の比が大事で、抵抗値そのものは正確である必要は
ありません。

R1とR2の精度は必要ありませんが、R3とR4と同一の抵抗値なので、同じものを使っ
ても構いません。

LM358は1つのパッケージにオペアンプが2回路入っていますが、この回路では1回
路分しか使いません。未使用のオペアンプ(端子番号が1,2,3)は添付図の回路の
ように、1と2を短絡して、3をGND(0V)に接続しておきます。

コンデンサC2とC3は電源ラインのバイパスコンデンサです。これらはオペアンプの
電源端子(端子4と8)の近くにつないでください。

R5(100kΩ)は、入力端子に何もつながないときにオペアンプの動作が不安定にな
るのを防ぐためのものです。この抵抗値がこの回路の入力インピーダンスになりま
す。この抵抗は精度は必要ないので、安価なカーボン抵抗で構いません。


オペアンプ(LM358)  http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-02324/
基準電圧IC(NJM431) http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-00431/

【コンデンサ】
0.1μF(積層セラミック) http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-02211/

【抵抗】
10kΩ
金属皮膜抵抗(精度1%) http://akizukidenshi.com/catalog/g/gR-03399/
カーボン抵抗(精度5%)http://akizukidenshi.com/catalog/g/gR-16103/

30kΩ
金属皮膜抵抗(精度1%) http://akizukidenshi.com/catalog/g/gR-03410/
カーボン抵抗(精度5%) http://akizukidenshi.com/catalog/g/gR-16303/

100kΩ(カーボン) http://akizukidenshi.com/catalog/g/gR-16104/

半固定抵抗
10kΩ http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-03277/