秋月ファンクラブ掲示板 過去ログ

Re: 同軸・並列ケーブルの特性インピーダンスをTDRで測定 - chy_farm

2013/11/27 (Wed) 16:53

同じタイムドメインリフレクトメトリ(TDR)の方法で医療用の測定ケーブル(添
付図上)の特性インピーダンスを計測してみました。

長さは1本が180cm、往復で360cmです。

光速では180cmを12.0nsで往復します。

図中央、上から順に
終端開放時の反射波、
終端に200Ω接続時の反射のない波です。

反射波が戻ってきたのが21nsのところにあります。
それで伝播速度係数は
12.0ns/21ns = 0.545
になります。


この医療用の測定ケーブルは、直流抵抗で片道26.3Ω程度、往復で52.6~52.8Ωあ
ります。

このケーブルの終端に200Ωの抵抗を入れ、それをLIMP(オーディオ用インピーダ
ンスアナライザ)で計測してみました(図下)。

なんと、0.9Ω前後の数値でカーブが描かれています。
これは一体どういうことなのでしょうか?

Re: 同軸・並列ケーブルの特性インピーダンスをTDRで測定 - chy_farm

2013/11/27 (Wed) 17:56

(図が正しくアップされません。あとでやり直しますが、、、)

同じTDRで商用電源に使う汎用ケーブルの特性インピーダンスを計測してみまし
た。

並列で長さはが230cm、往復で460cmです。
光速では230cmを15.3nsで往復します。

オシロ図上、上から順に
終端開放時の反射波、
終端に100Ω接続時の反射の最も少ない波、
終端に50Ω接続時の少しうち消された波です。

オシロ図中央、、上から順に
終端開放時の反射波、
終端に200Ω接続時の少し反射された波
終端に100Ω接続時の反射の最も少ない波、
です。

終端に100Ω接続時の反射の最も少ない波の場合でも、反射のところに小さなピー
クが見えています。
これはキャパシタンスの為かもしれません。


反射波は24.5nsのところから始まりますので、伝播速度係数は
15.3ns/24.5ns = 0.624
になります。


汎用ケーブルは銅線ですから、直流抵抗は往復で0Ωです。

このケーブルの終端に100Ωの抵抗を入れ、それをLIMP(オーディオ用インピーダ
ンスアナライザ)で計測してみました(図下)。

こんどは25k~30kΩ前後の数値でカーブが描かれてしまいました。
ちょっと、理由が分からずに困っています。

Re: 同軸・並列ケーブルの特性インピーダンスをTDRで測定 - inara1

2013/11/30 (Sat) 11:23

LIMPでの計測結果についてはよく分かりません。

高速パルスを線路を通して伝送するには、インピーダンスと整合が重要ですが、生
体計測では、伝送線路と被測定物のインピーダンスを整合させるのは難しいと思い
ます。そうすると、きれいなパルスを与えても、被測定物のところで波形が汚く
なってしまいます。

しかし、パルス発生器の出力インピーダンスを伝送線路のインピーダンスに合わせ
ると、受信端のインピーダンスが整合していなくても、波形が汚くなりません(生
体計測では常識かもしれませんが)。

添付図は回路シミュレータ(LT-spice)によるシミュレーション結果です。伝送線
路の特性インピーダンスを50Ω、遅延時間を10nsとしています。この線路の一端に
振幅0V-3V、パルス幅200nsの電圧パルスを与え、線路のもう一端に負荷抵抗を接続
したときの、信号源の波形と、負荷抵抗での波形をシミュレーションしてみまし
た。

?は負荷抵抗が伝送線路の特性インピーダンスに一致しているので波形はきれいで
す。?は負荷抵抗が伝送線路の特性インピーダンスより大きいので波形にリンギン
グが現れています。しかし?のように、信号源の出力に50Ωの抵抗を入れると、負
荷抵抗がインピーダンス整合していなくても、きれいな波形が得られます。

インピーダンスが整合していないと、インピーダンスの境界で電圧の反射が起こ
り、その反射波が線路を逆戻りしますが、その反射波が信号源で再び反射されない
ようにすれば(?のように出力抵抗を50Ωとすれば)、反射波は再び負荷側に戻っ
て来ないので、負荷がインピーダンス整合していなくても、負荷での波形は汚くな
りません。?の波形が汚いのは、戻ってきた反射波が信号源で再び反射して(信号
源の出力インピーダンスは0なので整合していない)、負荷側に戻っているからで
す。

LM7171の出力インピーダンスはほぼ0なので、出力と直列に伝送線路の特性イン
ピーダンスに等しい抵抗を入れるといいです。HC221の出力インピーダンスは、数
十Ωあると思われるので、負荷のインピーダンスが整合していなくても、?に近い
構成になっていたためにリンギングが小さかったのだと思います。

なお、出力抵抗を入れると、負荷に印加される電圧は、信号源の電圧より下がって
しまいます(出力抵抗と負荷抵抗で抵抗分割になるため)。そのため、未知のイン
ピーダンスの負荷を測定する場合は、印加電圧(パルスの平坦部分)が負荷によっ
て変わってしまうという欠点があります。ただし、負荷のインピーダンスが出力抵
抗より充分大きければ、電圧降下も小さくなります。

Re: 同軸・並列ケーブルの特性インピーダンスをTDRで測定 - chy_farm

2014/03/19 (Wed) 23:49

去年教えていただいたことが今頃分かってきたような?気がしますので、再チャレ
ンジ。
また教えてくださいませ。

まず、丁寧なシィミュレションをしていただいてありがとうございます。
それにすばらしい解説も感謝です。
でも、これをいただいたとき(去年)は良くわからなかったのでなんと答えたら良
いのか、、、???でした。
ようやく分かってきました。

>「LM7171の出力インピーダンスはほぼ0なので、出力と直列に伝送線路の特性イ
ンピーダンスに等しい抵抗を入れるといいです。HC221の出力インピー ダンスは、
数十Ωあると思われるので、負荷のインピーダンスが整合していなくても、?に近
い構成になっていたためにリンギングが小さかったのだと思いま す。」

↑このところもすごく納得です。これはわたくしにとってとっても重要です。この
次実験するときはこれにも留意して実験します。
ありがとうございます。


それから、自分で書いたところの誤りです。
<汎用ケーブルは銅線ですから、直流抵抗は往復で0Ωです。このケーブルの終端
に100Ωの抵抗を入れ、それをLIMP(オーディオ用インピーダンスアナライザ)で
計測してみました(図下)。こんどは25k~30kΩ前後の数値でカーブが描かれてし
まいました。ちょっと、理由が分からずに困っています。」

↑と書きました。

誤りの1:
これは高周波でのインピーダンスと、低周波でのインピーダンスを混同して混乱し
ていた、と思いますがどうでしょうか?
汎用の並列ケーブルは抵抗値が0Ωでも、そこには特定インピーダンスというもの
があるのですから、この特定インピーダンスは並列線相互間の寄生容量と、インダ
クタンスで考えるべきなのに、ただの抵抗値で考え違いしていた。
と今、考えました。


誤りの2:
オーディオ用のLIMPは(たぶん)スピーカー用に使っているコイルのインダクタン
スを主に計測していて、それを元にインピーダンスを計算するから、この実験のよ
うに抵抗値が無い並列ケーブルの測定などには全く適していなかった。
したがって、用途においても混同していた。

と考えました。

よろしくお願いします。

Re: 同軸・並列ケーブルの特性インピーダンスをTDRで測定 - inara1

2014/03/20 (Thu) 17:26

このスレッドの最初のところの測定ですが、こちらのサイト(http://kingyonull.
blogspot.jp/2013_04_01_archive.html)でも同様の測定をやっていて、同じよう
な伝播速度係数の値が得られています。

「同軸ケーブル教室」というページがありました。
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~e20570/staff/homma/Co-axial(Rev1.5).pdf
市販の同軸ケーブルの伝播速度係数は0.67くらいだそうです。式(6-9)にあるよう
に、伝播速度係数(波長短縮率)は絶縁体材料の誘電率の平方根に反比例するの
で、誘電率が2.2だと波長短縮率は0.67になります。22ページ以降の「インピーダ
ンスが50Ωのわけを考える」は興味深い内容です。

Re: 同軸・並列ケーブルの特性インピーダンスをTDRで測定 - chy_farm

2014/03/21 (Fri) 23:41

ほんとだ!そっくりなこと試すヒトがいるんですね。


「同軸ケーブル教室」のこの資料読んでました。良い資料ですね。分かりやすかっ
たです。


 >「22ページ以降の「インピーダンスが50Ωのわけを考える」は興味深い内容で
す。」

↑でも、この部分の計算式のところでやっぱり躓きました。こっちのほうも後で教
えていただきたいところがあるので、お願いします。
もう一度良く読んでから、質問チャレンジしますので!