秋月ファンクラブ掲示板 過去ログ
計装アンプでの増幅 - RL78
2013/03/06 (Wed) 00:12
計装アンプLT1167について、アドバイスをお願いします。
先日ホームセンターで買った安価なデジタルヘルスメータ(体重計)の調子が悪く、
バラして掃除をしたりして無事動くようになったのですが、センサ(?)1つと液晶、
制御基板のみという構成に驚き、ちょっと遊んでみたくなり、センサ出力を
マイコンのADCで読み出せないかと挑戦しております。
詳しくないのですが、センサは、ひずみゲージ(ロードセル?)のようで、
電源(V+/V-)とセンサ出力(S+/S-)の4本で制御基板と繋がっています。
デジタルテスタで計測したところ、V+は約1.1V、V-はGND、
センサ出力(S+/S-)はともに約0.5V程度でした。
このセンサ出力のS-をテスタのCOM、S+をテスタの電源側にしての計測では、
差動出力のようで、体重を掛けると、電圧に変化が現れました。
ただ、デジタルテスタの0.1mV単位でしか見れず、
私の体重を掛けても0.5mV程度の変化でしたので、
センサは0.01mVとか、これ以下の単位かと思っています。
そこで、アナログ関係は素人なのですが、増幅の必要があるというで、
秋月で扱っている計装アンプ(LT1167)が使えるかと思い、取り寄せて、使っていま
す。
早速簡単な回路を作り使用してみましたが、思ったように計装アンプからの
出力がありません。
計装アンプの抵抗は100Ωにして、ゲインは約500倍にしていますので、
差動による変化分がゲインで増幅されて現れると思っているのですが、
なぜかOUTが約0.6V程度で、体重を掛けてもまったく変化が見られない状況です。
センサは元の体重計とそのままつないでおり、出力を単に分岐させた状態で
確認しています。この状態で、元の体重計側では液晶に体重表示がされています。
(表示されている数値が正しいかは分かりませんが)
アナログ系はまったく経験がないため、識者の方からアドバイスをいただければ幸
いです。
Re: 計装アンプでの増幅 - inara1
2013/03/06 (Wed) 20:02
LT1167は手元にあります。
この計装アンプはの入力電圧範囲は、日本語データシート
(http://cds.linear.com/docs/Japanese%20Datasheet/j1167fb.pdf)の3ページ目
の「Input Voltage Range」右側に書かれているように、負の電源電圧(-Vs)より
1.9V高い電圧から、正の電源電圧(+Vs)より1.2V低い電圧の範囲になります。ご
質問の回路図のように、負電源電圧を0Vとした単電源動作の場合、入力信号が0.9V
より高い電圧になっていないと正常動作しません。つまり、センサ出力(S+/S-)が
ともに約0.5V程度だと動作しません。
正電源電圧(+Vs)を+5V、負電源電圧(-Vs)を-5Vなどとした両電源で動作させる
と正常に動作すると思います。
電源が+5Vしかない場合、+5Vから-5Vを作ることは簡単にできるので、ご要望があ
れば回路を紹介します。LT1054という負電圧コンバータを使ったものです(このIC
は秋月で売ってます)。T1054も手元にあるので実験することも可能ですが、平日
は仕事なので土日まで待ってください。
Re: 計装アンプでの増幅 - RL78
2013/03/07 (Thu) 00:03
inara1さん、アドバイスありがとうございます。
単に増幅するわけでなく、増幅できる入力電圧範囲があり、今回はその範囲から外
れていたため、思った出力になっていなかったわけですね。
ご紹介いただいた負電源のICですが、これは入力電圧がそのまま負電圧として出力
されるという理解でよろしいでしょうか。
LT1054だと電源が3.5V以上のようですので、もし3Vで動作させたい場合は、LT1144
を使ってみればよいのでしょうか。
間違いがなければ、早速秋月から取り寄せようかと思います。
といっても、私も土日しかできませんので、後日改めて結果を報告しようと思いま
す。
Re: 計装アンプでの増幅 - inara1
2013/03/07 (Thu) 05:24
電源電圧が3.3Vなら、2Vから動作するLTC1144にする必要がありますね。負電圧コ
ンバータは、電源電圧の反対符号の電圧を作るものなので、3.3V電源から-3.3Vが
作れます。
LTC1144は最大出力電流が10mA程度と低いのですが、LT1167の消費電流は最大1.3mA
なので問題ないと思います。
LT1167の電源電圧範囲は、両電源の場合、最小で-2.3V/2.3Vなので、-3.3V/3.3V電
源なら問題なく動作するはずです。ただし、±3.3V電源とした場合、ロードセルの
出力電圧が-1.3V~+2.1Vの範囲に入っている必要がありますが、これも問題ないは
ずです。
LTC1144も手元にあるので実験してみます。
Re: 計装アンプでの増幅 - inara1
2013/03/09 (Sat) 14:25
LTC1144で実験してみたところ、ちゃんと動作しました。回路図を添付します。
LTC1144の出力(5pin)の電圧は-3.3Vでなく、+側に少しずれていますが問題あり
ません。ずれるのはLTC1144の出力インピーダンスが比較的高いためで、出力電流
が大きいほど+側にずれます。コンデンサC2とC3の極性に注意してください。
LT1167のRgを100Ωとしたときの入力電圧Vinに対する出力電圧Voutの変化を測定し
てみました。LT1167のデータシート
(http://cds.linear.com/docs/Japanese%20Datasheet/j1167fb.pdf)の12ページ
にあるように、Rg=100Ωのときの(差動)利得は G = 49.4kΩ/100Ω + 1 = 495
ですが、100Ωの抵抗を実測してみると99.18Ωだったので、実際にはG=499.08 に
なります。測定結果を直線近似したときの傾斜は499.5なので、ゲイン誤差は0.1%
未満になります。
グラフの直線が原点を通っていないのは入力オフセット電圧があるためです。デー
タシート13ページの図2のような回路でオフセットを0に調整すれば、グラフが原点
を通るようになります。入力オフセット電圧の調整は、体重計のゼロ調整に相当し
ます。
Re: 計装アンプでの増幅 - RL78
2013/03/19 (Tue) 00:59
inara1さん、実験ありがとうございました。
ご報告が遅くなり、すいません。
バタバタとしてまして、昨日やっとこちらでも動作確認ができました。
マイコンのADで取り込み、大凡の体重も算出できました。
ただ、センサー(ブリッジ?)の仕様だと思うのですが、ある重さからセンサー出力
(差動)がマイナスになるため、マイコンのADでは取り込めないようです。
この場合オペアンプの加算回路でプラス方向にシフトさせてやればよいのかと考え
ていますが、あっていますでしょうか。
お忙しいと思いますが、アドバイス頂ければ幸いです。
Re: 計装アンプでの増幅 - inara1
2013/03/19 (Tue) 06:36
センサー出力がマイナスになるのは、センサー出力にオフセットがあるためです
ね。LT1167にはオフセット調整端子(Ref)があり、その端子に加えた電圧が、
LT1167の出力(Out)に重畳されるので、その機能を使えばいいです。
添付図のように、±の電源電圧を抵抗R2とR3と半固定抵抗VRで分圧し、オペアンプ
(LM358)を使ったバッファを介してオフセット調整端子(Ref)に接続し、半固定
抵抗VRを調整すればオフセット調整ができます。
添付図の抵抗R2とR3と半固定抵抗VRの抵抗値の場合、LT1167の出力(Out)に重畳
されるオフセット電圧は-0.5Vから+0.5Vくらいの範囲になります。
オペアンプは汎用のものでいいですが、オペアンプのバッファは必ず入れてくださ
い。バッファを入れずに、抵抗分圧だけでオフセット調整端子(Ref)に電圧を加
えると、LT1167の性能(同相信号除去比)が悪化します。
センサの配線を伸ばす場合は、センサの電源端子間にバイパスコンデンサ(C7)を
入れたほうがいいです。